銀行から今までにない資料を要求された

例えば、売上先の一覧や、仕入先の一覧など、今までに提出したことのない資料を要求されたとします。

この場合、次の3つのケースがあります。

  1. 融資申込後の融資審査において、稟議書を書く人が、稟議書の資料の肉付けとして、詳細な資料がほしい、もしくは稟議書が回覧されるにあたって、融資係長や支店長などから、ここをもう少し知りたいという指示があって、資料を追加したいケース。
  2. 決算書提出後、決算書の中の勘定科目明細で、不足している部分があったり、もしくは決算書を分析するために細かい明細が必要であるケース。
  3. 銀行の自己査定作業の中で、債務者区分の決定にあたっての判断材料として資料不足であるところを補ったり、もしくは金融庁のヒアリングにあたって銀行が金融庁から突っ込まれないようにあらかじめ想定される資料を用意しておきたい場合。

◎いずれにしても、資料不足の状態があり、そこを補いたい、という趣旨が第一となります。
◎資料不足を補いたいということですから、資料の提出を要求すること事態が、銀行がその企業を警戒している、ということには結びついてきません。

銀行が聞きたいポイントは、だいたい決まっています。
なぜこの資料が要求されたのか、その資料を聞くと、銀行は何を知りたいのか、だいたい分かります。

例えば売上明細であれば、

  • こちらの会社は、安定的な売上先はどれぐらいあるのだろうか。(数年にわたっての売上先ごとの売上金額。)
  • 1社もしくは数社へ売上を大きく依存しているのかそれとも売上は分散されているのか。
  • それぞれの売上先の、業績や安全性はどうなんだろう。
  • 売上高は、粉飾していないだろうか。

だから、例えば売上明細を提出するにしても、その売上明細から見えてくる自社の弱点を考え、それを補うような文章を付けておくと、銀行に与える印象は良くなります。

例えば1社への売上依存が6割あり、その企業の動向に左右されやすい体質であれば、「前期の売上の6割はA社によるものであるが、弊社としてはA社依存ではA社の動向に左右されやすいため、売上先を分散できるよう、B社以下既存の売上先に営業担当を1カ月に1回訪問させ新たな受注ネタの情報収集をするとともに、○○県内の業種○○業の企業を300社ピックアップし、新規開拓の活動を行っている。」

現状の弱点をほったらかしにしているのではなく、その弱点を経営者としては把握し、それを克服するために対策をうっている、という姿勢を見せるのです。

それで銀行に伝えたことが、融資審査の材料となり、自己査定の債務者区分決定への材料となり、良い方向に向かうのです。ただの資料提出という作業自体でも、それをメリットにできないか、工夫してみてください。

ストック型の借入

会社を倒産させない資金繰りの鉄則は、現金預金をできるだけ多く持っておく、とても単純ですが、これが一番の、資金繰り策、となります。
例えば年商600百万円(6億円)、月商50百万円(5千万円)の企業であれば、その企業の現金預金が一番少なくなる瞬間(集中支払い日に支払った後など)に、50百万円の現金預金がある状態、です。

■現金預金を豊富に持つには、やはり第一に銀行から融資を受けることです。
×借入総額が少ないのが安全な経営だ!と言う人がいますが、大間違いです。

◎現金預金が多いのが安全な経営

借入総額が少ないのが安全な経営と思いこんで、そこに経営者の目がいってしまうと、現金預金がぎりぎりの状態でまわさなければならない事態に陥りかねません。
そして、資金不足となってしまう時にやっと気がついて、あわてて銀行から融資を受けようとしても、そんなに簡単に受けられないことでしょう。

「借入総額が少ないのが安全な経営だ」論の根拠は、借入総額が多いと返済負担が大きいから、借入総額を少なくしよう、ということでしょう。
借入総額が多くなり、返済負担が大きくなった。その状態で、融資を定期的に受けて資金繰りをまわしていたが、ある時から融資が受けられなくなった。
そのような時には、銀行と交渉して返済金額を0円近くにしてもらえればよいです。

また、融資を受けて、それが使われずに月々返済されていくのみだから、利息(と保証協会保証料)がもったいない、という考え方もあるでしょう。
ただ、それは「保険料」のようなもので、融資で受けた金額が使われずに月々返済されるのみであれば、それはそれでよいのです。

融資は、受けられる時に受けておくべきものです。資金が足りなくなりそうだからと資金不足の直前に受けようとし、うまく融資が受けられなかったら、それだけですぐに経営の危機に陥ってしまいます。

融資は、企業にまだ余裕がある時に受けやすいものですから、受けられる時に受けておきましょう。

「これが最後の融資ですよ」は何を意味するか

銀行から融資を受ける際、「これが最後の融資ですよ。」と言われたとします。
言われた企業側としては、この言葉は何を意味するのか、不安になってしまいますね。

銀行員が融資先企業の方にこの言葉を伝える時の経緯は、だいたい次のようなものです。
企業から融資の申込みを受けた。
  ↓
銀行内で、融資審査が行われた。
  ↓
しかし、審査はスムーズに通らず、銀行内で融資を出すか出さないかについて議論が何回も交わされた。
  ↓
ただなんとか今回の融資は出したいと、審査通過に有利な材料を得るために、企業からも追加の資料の提出を受けるなどして、あらためて審査が行われた。
  ↓
そのような努力の甲斐もあって、やっと今回の融資審査は通った。
  ↓
ただ、今回の審査は難航したため、企業側に、次の融資は簡単に出るとは思ってもらいたくないと銀行は考えた。
  ↓
銀行の担当者は、その企業に「これが最後の融資ですよ。」と伝えた。

「これが最後の融資ですよ。」と銀行から言われたことがある方は、だいたいこのような流れがあったのではないでしょうか。

ここから考えると、「これが最後の融資ですよ。」と言われた場合、銀行はその会社に対し、融資審査は厳しく行う、というスタンスであることになります。
しかし、本当にこれが最後の融資となってしまい次に融資を申込んでも絶対に通らないかというと、そうではありません。⇒なぜなら、次に融資を申込んでも通らないということであれば、そもそも今回の融資自体を出していないはずだからです。

今回は融資が出たということは、その会社に対しての銀行の「取引方針」は、下記の区分が銀行にあるのだとしたら、 A.積極推進方針 B.推進方針 C.現状維持方針 D.消極方針 E.取引解消方針 「C.現状維持方針」となっている可能性が高いと思われます。 ※ちなみに「C.現状維持方針」の企業に対しての銀行のスタンスは、その企業に対しての融資量を維持する程度にとどめる、という方針です。

しかし

今後の企業の状況によっては「D.消極方針」、つまり新たな融資は困難になる方針、に転落してしまう可能性もある、という背景があって、「これが最後の融資でよ。」という言葉になって現れるのです。

具体例

A銀行で、現在受けている融資は80百万円である。今回は20百万円の融資を受けてA銀行での融資残高は100百万円になったが、A銀行からは「これが最後の融資ですよ。」と言われた。ちなみにA銀行には、今回の融資後、全部の融資を合わせて1ヶ月2百万円ずつ返済することになる。
この場合、1年後にはA銀行での融資残高は76百万円になります。この会社は利益がそんなに出ていなく、返済は手元にある預金から行っている形(利益によるキャッシュフローで返済できていない)になってしまっているので、このままでは資金不足に陥ってしまいます。

このような状況において、この会社は、1年前にA銀行から言われた「これが最後の融資ですよ。」の言葉どおり、A銀行から融資を受けることはできないのでしょうか。

答えは、その時の、企業の業況によります。

ということは、「これが最後の融資ですよ。」という言葉を言われたのであれば、その次の決算がどうであるかが、いつにもまして重要となります。
だから、次の決算が出たら、その銀行に早く提出して融資を申込みしてみて、その銀行のスタンスをすぐにはかるべきです。

そして融資が出ないとしたら、すぐにでもリスケジュール、つまり現在の融資返済の減額交渉を行っていく必要があります。
そうしないと、融資が受けられないのに銀行への返済ばかりが進んで、早晩資金がショートしてしまうことになります。

「これが最後の融資ですよ。」と言われたら、企業としてはその後の銀行対策、そして資金繰り対策により慎重であらねばなりません

銀行の、できる担当者、できない担当者

■あなたの会社を担当する銀行員が仕事ができる人かどうかをどう見分けるか
問題は、その担当者が、「仕事ができる」人か、「仕事ができない」人か、それにより、あなたの会社において、影響が出てくる、ということです。

仕事ができる担当者

◎担当者の方からあなたの会社に、融資の提案をしてくれます。
例えば、銀行の担当者が次のように言ってくれるとします。
「前回融資を出してから6ヶ月が経とうとしていますが、そろそろ融資を検討してみませんか。」
提案ができる銀行マンであれば、仕事ができると見てよいでしょう。
◎また銀行の得意先係は、ノルマを課されています。仕事ができる担当者であれば、そのノルマの達成に積極的であり、企業に積極的に融資の提案をし、企業から融資を申込まれたらその審査が通るように、支店長などを説得できるような融資稟議書を書くこともできます 。

仕事ができない担当者

◎担当者が「何かご用はないですか?」としか言えない人であればどうでしょうか。このような担当者は、論理的に物事を組み立てることができない人です。 つまり、論理的に書く技術が必要である稟議書を上手く書くことができない人である可能性が高くなります。
◎また、企業側から融資の話をされることを待っているということは、受身の姿勢の人、ということになるでしょう。
◎また、仕事ができない担当者であれば、仕事の段取りも遅くなりがちです。

このように、あなたの会社に銀行の担当者が、仕事ができる人かできない人かによって、あなたの会社が、銀行と円滑な融資取引ができるかどうか、大きな影響が出てしまうことになります。

仕事ができない銀行員を「属性」で見ていくと、30代後半以降で、特に役職についているでもない人は、仕事ができない人である可能性が高いです。 銀行の標準では、30代前半ぐらいから、係長や課長、支店長代理など、なんらかの役職がついてきます。 それが30代後半以降の年齢でも平行員であると、銀行内で仕事ができない人であるとみなされていることになります。

■銀行では誰を担当者とするかをどう決めるか
例えば、ある支店に、得意先係の長を含めて5名の得意先係行員がいたとします。

得意先係の長は、その支店において重要な取引先とされている企業を担当します。

残り4名で、地区を4つに分け、そのテリトリーごとに担当者が決められます。

ということは、あなたの会社が仕事ができる担当者に当たるかどうかは、運不運でしかないわけです。

できない銀行担当者にあたった場合の対処法

では、仕事ができない担当者にあたって、我慢の限度を超えるぐらい仕事ができない担当者であった場合、どうすればよいでしょうか。

答えは簡単です。担当者を別の人に変えてもらうことです。

※担当者を変えてほしいという要望は、さすがに担当者本人には言いにくいでしょうから、その支店の別の行員に、申し出をしてみましょう。得意先係の長や融資係の長、副支店長などがよいでしょう。

  • また、得意先係や融資係の別の平行員に対して申し出するのは、おそらくその行員は支店内で発言権がない人ですから、その行員で話が止まってしまう可能性があります。
  • 一方、支店長に申し出するのもよくないです。支店長にそのような話をすることにより、その担当者の評価は大きく下がることになります。あなたの会社にとって、その担当者の評価がどうなろうと関係ない、と言ってしまえばそれまでですが、その担当者のことを考えると、支店長に担当者の変更の申し出をすることはあまりよくないかと思います。
  • ただあまりにもあなたの会社に対して悪い影響を与えた担当者であったのなら、直接、支店長に担当者変更を申し出てもよいでしょう。

銀行員の、一つの支店にいる期間は2~3年です。
仕事ができない担当者にあたってしまったのなら、その担当者と2~3年、付き合わなければなりません。
我慢の限度を超える担当者であったのなら、担当者の変更を申し出ましょう。

銀行が融資審査の返事をなかなかしてくれない

融資を申込んだ方としては、一日でも早く融資を受け、会社の現預金を潤沢にして、安心したいですよね。 そのようなあなたの思いとは裏腹に、銀行はなかなか融資の返事をしてくれない。そうしている間に、この日にだけは必ず資金がほしい、という日がどんどんせまってきます。 このような時、一方の銀行では、何が起こっているでしょうか。

  • 融資審査は、稟議方式で行われます。つまり、融資審査についての稟議書が担当者により作成され、それが次の順番でまわることになります。
    得意先係の担当者→得意先係の係長→融資係の担当者→融資係の係長→次長→支店長
  • また、金額が大きいなど、支店長では融資審査を決裁することができない案件であれば、支店長の後に、本部(審査部)にまわされ、本部において融資審査の決裁がなされることになります。
  • これを見ても分かるように、融資審査の稟議書は多くのところを回るので、なかなか融資審査の結論が出ないのです。
  • また、稟議書をすぐにまわしてくれるとよいのですが、あるところでとどまることも多いです。

銀行に融資を申込み、その結果がなかなか出ない時は、融資を申込んだ相手である銀行員をせっつくことからはじめるとよいでしょう。

ただ、この場合でも、決してその担当者にきつく怒ってはいけません。

きつく怒られてしまうと、その会社が融資が出るように取り組んでみようという気持ちがその後、薄れてしまうようになります。あまり、その会社に近づこうとしなくなるかもしれません。
融資審査の結果を早めに出してもらうためには

融資の申込書に、「○月○日までに返事をいただくことを希望します。」と書いておくことです。
必ず、書面で伝えるようにします。

以上、述べたように、融資審査の結果がなかなか出ないのは、「何か重大なこと」があなたの会社の案件において起こっているから、というわけではありません。
ただ単純に、稟議書が滞っていることが原因であります。

また場合によっては、融資を申込んだ担当者が、稟議書をまだ書いていない、ということもありえます。

このようなこともありますから、融資を申込んだら、なるべく多くその担当者と話す機会を作り、融資の稟議書が早くまわるようにするために働きかけていきましょう。

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