融資返済で気を付けたいノウハウ

メイン銀行、サブ銀行・・・と、どうバランスをとっていくべきか

メイン銀行の定義はあってないようなもので難しいですが、融資金額が一番多い銀行、不動産担保を一番多く入れている銀行、売上入金が一番多い銀行、支払手形を切っている銀行等、総合的に考えてメイン銀行を判断します。
しかし取引が入り組んでいる企業であれば、メイン銀行の判断が難しい場合も多いでしょう。
そもそもメイン銀行が最後は絶対助けてくれるということがなくなった現在、わざわざメイン銀行を決めるのも意味がないような気がします。

融資のメニューの中で、一番ハードルが高いのが当座貸越です。なぜなら当座貸越は融資の極度を決めてそれ以内ならいつでも借りたり返したり自由だから、融資の返済期限が決められている証書貸付や手形貸付よりも銀行にとってはリスクが大きいからです。よほどの優良企業でないかぎり、当座貸越の極度が設定されるためには不動産などの担保を入れる必要があります。(極度額が少ないカードローン型の当座貸越は別ですが。)
そのため、当座貸越の極度を設定している銀行は、メイン銀行と考えやすいです。他は、銀行ごとのトータルでの融資総額の大きさによりますね。
私募債は、まとまった大きい金額の資金調達の手段ですが、都市銀行が中心にやっており、私募債があるという理由だけでメイン銀行であるとは考えにくいです。

また、プロパー融資を行っている銀行はメイン銀行として考えやすいです。
よく、プロパー融資と信用保証協会付融資を受ける銀行を分けている企業を見かけますが、プロパー融資を積極的に行ってくれる銀行にはできるだけ多く、信用保証協会保証付融資を集める方がよいでしょう。信用保証協会保証付融資は銀行にとってリスクが少なく、プロパー融資を行う銀行と信用保証協会保証付融資を行う銀行を分けることはバランスが悪くなってしまうからです。

一括返済の融資が返済できない場合どうするか

私の会社にかかってくる資金繰り相談電話の中で、多くあるご相談が、「銀行に6月10日に、手形借入で借りていた1千万円の一括返済の期限がくるが、返済資金がない」というように、一括返済の融資が返済できない、というパターンです。
この場合、どうしたらよいでしょうか。

×良くない方法の一つは、銀行へ融資を返済するために、高金利でマチ金などからお金を引っ張ったり、友人・親戚などからお金を借りたりすることです。

×銀行にお金を返せないより、マチ金や友人・親戚などへお金を返せない方が、やっかいです。マチ金の取立ては銀行よりずっと厳しいし、もしくは友人・親戚との人間関係をこわしてしまうことになってしまうからです。

○この場合、とるべき方法は、銀行に、本来なら一括返済するものを、分割返済にしてもらうよう交渉することです。
しかし気をつけなければならないのは、その分割返済額をどうするか、です。
例えば、1千万円を6ヶ月、毎月160万円ずつ返済すると銀行に簡単に約束してしまうと、それだけ返済して資金繰りがまわるのならよいのですが、そうできるだけの資金繰りではないから、一括返済ができなかったのです。
会社が存続可能な余裕のある返済額に交渉しましょう!

毎月返済500万円→毎月150万円、で払っていけるのか

  • 銀行から融資を受けたら、その返済は、キャッシュフローで行っていきます。
  • キャッシュフローの計算方法ですが、正確に計算するのは大変なので、ざっとしたキャッシュフローを見るために、以下の計算式で簡易的に 計算することができます。

キャッシュフロー=当期利益+減価償却費

なぜリスケジュールを行っても、資金繰りがまわらない企業が多いのか。

  • キャッシュフローを意識してリスケジュール交渉を行っていない。
  • 現状の会社のキャッシュフローがいくらであり、そのキャッシュフロー内で返済を行うには返済金額をいくらまで抑えるべきか。

それを意識したリスケジュール交渉を行っていないから、中途半端なリスケジュールを行って、資金繰りがまわらなくなってしまうのです。

ハシゴを外される・・・

融資が全く受けられなかったり、受けられても年間で10百万円や20百万円で、50百万円に届かなかったり、と。こういった場合、リスケジュール、つまり返済減額交渉、を行うしかありません。
ただ、なぜこのように、いきなりハシゴを外される、つまりいきなり融資を受けられなくなるのでしょうか。原因は、次のようなものがあります。

  • 損益で赤字を出した。
  • 赤字を出して債務超過(貸借対照表の純資産がマイナス)となった。
  • 黒字であるものの、売上が増えていないのに売掛金や在庫が大きく増え、銀行にとってあやしい動き(粉飾決算?)と見えた。
  • 前期決算に比べて、売上が増えていない、設備投資も大きくしていないのに借入が大きく増えた。(借入が赤字補てんにまわった?)
  • 代表者や関係会社への貸付金が大きく増えた。(銀行融資が転貸された?)
  • 銀行の融資審査がいきなり厳しくなった。
    (最近、三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行はビジネスローンの審査を厳しくしています。りそな銀行・みずほ銀行はビジネスローンの取扱いをやめました。信用保証協会保証付融資は、責任共有制度開始で銀行のリスクが増えており、審査が厳しくなっています。)

など、いろいろな理由が考えられます。

~いきなり融資が受けられなくなることを防ぐためには~

  • きちんと経営を行う
  • 余計な節税をせず利益をきちんと上げる
  • 借入した資金を代表者へ流用しない
  • 余計な別会社を作って資金を流出させない
  • 経営者としてあたりまえのことをあたりまえに行う。

そういった経営努力を行わないと、銀行からいきなりハシゴを外されることになります。
まだ融資が受けられているからと、安心しては絶対になりません。

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