役員報酬はいくらまで税務署に否認されないか?

役員報酬をいくらにすべきでしょうか?

いくらまでなら、税務署に否認されないでしょうか?

これはよく頂くご質問です。具体例として、平成3年の裁決を考えてみます。
問題になったのは、代表取締役「会長A」の役員報酬です。ちなみに、期間は昭和62年~平成元年(3年間)です。 その役員報酬は1,200万円(年間)です。これを、税務署は「高すぎる」と主張しました。

その理由、適正額は

○社長を退き、会長になってからは、仕事の内容が激変
○会社に机も無い
○常勤から非常勤になった
○役員報酬の適正額は396万円
○1,200万円-396万円=804万円が過大ということです。

しかし、会社は

○Aは代表権のある会長で、非常勤ではない
○経営方針、設備投資、借り入れなどの決定にも関わっている
○採用、人事、給与などの人事権もある
○重要な契約の決定にも関わっている
○役員報酬は適正額であると反論しました。

結果、国税不服審判所は

○Aは経営に大きく関わっているので、常勤である
○事務所に机が無くても、本社敷地内に自宅がある
○日報などにより、必要な指示をしている
○Aの仕事が社長の時代よりもかなり減ったことは事実としました。

国税不服審判所は

類似法人の平均額を計算しました。その結果、役員報酬の適正額は
○昭和62年 780万円
○昭和63年 850万円
○平成元年  900万円
としたのです。結果として、
○昭和62年 1,200万円-780万円=420万円
○昭和63年 1,200万円-850万円=350万円
○平成元年  1,200万円-900万円=300万円    
合計「1,070万円」の否認です。
しかし、当初に税務署が主張した否認額は 「804万円×3年=2,412万円」です。
否認はされたものの、否認額が「1,342万円」も減ったのです。

※ただし、こうなるケースばかりではありません。実際、国税不服審判所の過去のデータはこうなっています。

大半は税務署側の勝利ですね
税務署と争うならば、大切なことは

修正申告書を提出しないということです。
なぜなら、「修正申告書の提出 = それを認めたこと」になるからです。
そして、それに【異議を唱える権利が無くなる】からです。

まず「統括官」と話をしましょう。
税務署の肩書きは上から「統括官」→「上席」→「調査官」となっています。
この中で上席、調査官は【現場で事実を把握すること】が仕事です。
しかし、統括官は【税務行政のバランスを取ること】も仕事です。だから、まずは統括官と話をしましょう。

実際に「納得できないから、統括官と話をさせて下さい」と言っただけで、結果が変わったこともあります。

これは市販の書籍には書いていないテクニックです。
それでも、結果が変わらず、納得できない場合は

(1)税務署長に「異議申し立て」を行なう

(2)国税不服審判所に「不服申し立て」を行なう

(3)裁判で争うという流れになります。

税務調査の結果には正当なものもあれば、理不尽なものもあります。 だから、「これは理不尽だ」と思ったら、きちんと主張して下さい。 また、異議申し立ても必要な場合は行なって下さいね。
【法律で認められた納税者の権利】なのですから。

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