業務改善のヒント チーム編

3つのマークを確認しよう

今の仕事のやり方を改善し、イキイキとした職業生活を送るために、自分自身の頭上に"3つのマーク"が付いているかを常に確認してみよう。

そのマークとは「?」「×」「!」の3つである。

  1. 「?」(疑問の精神)
    「おや?」「おかしいな?」と気付く問題意識を持っていること。それが有効な問題発見につながるためには、しっかりとした目的意識に立脚することが前提となる。「健康でさわやかに、お役に立ちながら長生きする」という人生目的や企業目的を明快に掲げていると、それを阻害するものとして「問題」が直ちにクローズアップしてくる。
  2. 「×」(現状否定の精神)
    今やっている方法や選んでいる方向が必ずしもベストではない。よりベター、ベストなものを目指して果敢に現状を否定すること。従来から行っていて、習慣になっているものの中にこそ、思い切った革新を必要とするものがある。時代が変わり、技術革新、ニーズ変化が起きる中、それに新たなる対応を図ること。
  3. 「!」(感動の精神)
    予定や期待を上回る成果や出来事に人間は感動を覚える。「?」「×」で仕事の革新をすすめながら、この「!」をどれだけ多く付けることが出来るかが、生きがい、働きがいを決める。義務・責任感だけではなく、能力開発、使命感、成就感を伴う仕事だ。

コミュニケーションの格差は業績格差である

質の高いコミュニケーションとは
答えのない「問い」に対しても。両者が選択できる方策を形づくっていけることだ。
その際に有効なのは、「そもそも、その主張は、どのような問いに対してなされたものか」を考えることである。

「どのように手を打つか」という具体的に物事をとらえる視点を、「なぜそう思うか」という抽象的な視点に移行させることは、物事の本質にもう一度着目させることになる。
相手の主張を認めながらも、コミュニケーションの生産性が感じられずに共感が生まれない状況はよくあることだ。その中でもコミュニケーションの質を高めていくためには、そもそもの論点を意識することが非常に有効な手段である。
答えのない「問い」に対して、その時々でベストな回答を行うことも今のビジネスでは求められる。そのためにも、多くの情報をさまざまな角度から練り上げる「質の高いコミュニケーション」が、ますます重要となってこよう。

筋肉質なチームを作る

経営者は、業績が悪い理由を「環境」や「部下」の責任にしてはならない。

勝敗は、リーダーの采配によって決まると言っても過言ではない。

では、リーダーはチームの勝利を手にするために、どのように采配を振るっていけば良いのだろうか。その着眼点は次の通りである。

1.リーダー自身の習慣を変えよ

  • 人は従来の延長線上で考え、行動することが多分にある。これは会社の体質・社風・風土なども同様である。リーダー自身の考えや行動を変えなければ、会社は変わらない。
  • リーダーは場当たり的な対応策ばかりを打たずに、まず自分自身をよく見つめ直し、習慣を変える努力をすることだ。

2.自社の常識は顧客にとって「非常識」という考えを植え付けよ

  • 強いチームは、何事も顧客思考で考え、行動する習慣が身に付いている。顧客が何を求めているかを常に考える習慣を身に付ける。
  • 行き当たりばったりの考えや行動では、顧客から満足されないのは当然である。顧客第一主義の徹底を図るには、すべての判断基準を顧客に置き、顧客にとって良いか悪いかの判断を常に繰り返すことで、顧客志向の習慣が身に付いてくる。

あえて難しいことから始めるのではなく、日常業務のなかから培っていけることを徹底し、実践に移すことで筋肉質なチームができあがってくる。

協働を通じて、仕事の質を転換する

★決められたことを間違いなく行なう仕事から、知恵を出し合い創造する仕事、つまり人間の「心」が大きく仕事に左右するようになってきている。

~このような現代では、組織での「協働」が重要となっている。~

★協働のもたらす効果が人間の「心」に火をつける、モチベーションの向上をもたらすことになるからだ。

協働による3つの効果

「補完効果」

お互い足りないものを補い合う補完しあう中で、お互いに刺激が生まれ、新たな発見から組織としての活性度が高まる「相乗効果」へ結びつく。

「相乗効果」

協働を通じて、仕事の質が転換され組織が活性化される。

「成長効果」

活性度の高い組織は、自己を成長させる機会を与えてくれる組織としての価値を持ち、その組織に帰属することは成長の実感と予感を抱かせる。

組織活性度を高める施策「サンキュー&チェンジ・メッセージ」

自分以外のメンバーへの感謝や変化・成長をメッセージとして本人にフィードバックするものである。

  • 感謝される=周囲・組織への貢献が承認された"と捉え、当然モチベーションが高まる。
  • 成長した点がフィードバックされることで成長点を意識するので、モチベーションアップヘ効果絶大である。
  • さらには"自己の変化を認めてくれている"という気持ちは、本来人間の高次の欲求充足であるといわれ効果も予想以上に大きい。

組織の活性化は「報・連・相」

職場内トップと幹部、上司と部下の不信感など、トラブルの原因のほと んどが「報・連・相」であり、これが常態となると不信から不満となる。不満が充満すると組織は崩壊する。そこで今一度「報・連・相」の基本と本質を考えてみたい。

<基本>

  1. 仕事の締めくくりであり、次のステップへの始まりである
  2. 業務の流れを円滑にする潤滑油である
  3. 作業能力を向上する場である
  4. 相手の立場と考え方を知り、チームワークを向上する場である

「報・連・相」が徹底しない』真因 ⇒ 基本、必要性を理解できていても本質を理解していない。
本質の第一は、価値判断である。何が大事なことか、トップや上司が何を求めているのか、何を報告しなければならないのか。これらの判断が自分の価値判断基準で行われる。したがって、各人の重要順位が上司やトップの求めるものと異った場合、ミスマッチが起こる。

第二の本質は、トップや上司指揮権の下に入りたくないといった人は「報・連・相」をしたくないものである。上司に対する信頼性がない場合など意識的に報告しない。

「報・連・相」の徹底のためには、基本の教育と同時に社内の価値判断基準を明確にする。さらにトップと幹部、幹部と部下の信頼性を高める社内風土づくりと教育が課題である。

人的生産性を高める事例

不況に対して、生き残りをかけて、各社(中小・中堅企業において)対応を進めている。コストダウン推進のためには、スピードと実行力が必要である。今回は、生産性の改善を実施している実行事例を以下に紹介する。

A社は、生産性を調整するために、人員数・日数・時間(残業のカット含む)の3つの要素から受注高の落込みをカバーし、生産性を維持している。

理論上ではあるが、これまで残業2時間のところを残業ゼロで運営した場合、稼働時間は80%に抑えた状態になる。さらに、人員数を80名にすると総労働時間を80%に抑えた状態になり、総労働時間が最終的に64%の状態となる。
A社では、現在週休3日での運営をしているため、結果として受注高が40%ダウンする前より生産性が向上した状態となっている。人的生産性を高める改善は、社員の意識に起因する部分が最も大きく、改善するためには難易度が高い項目でもある。

一般的に、人は仕事量で時間が決まるのではなく、持ち時間に仕事量をあわせる特性がある。例えば、80%の仕事量でも100%実施するための時間がかかるし、120%の仕事量でも100%の時間で仕事をこなすことも可能である。生産性を上げるためには、120%の仕事量を与えるのが最も早い手法である。

受注高が減少した今、ムダに時間を費やすのではなく、思い切って工場(ライン)を停止させる施策も必要ではないだろうか。最近では、週休3日などにより助成金を申請し、対応する企業も増えている。一度、現在のわが社の人的生産性がどういった状態になっているか算出し、対応を検討いただきたい。

チームの完成度を高めよう

企業において、まとまりのある完成度の高いチームをつくることが、強力なライバル企業に競り勝ち、競争力をつけていくことに繋がるのではないだろうか。

チームの完成度を高めるために必要な「チームマネジメントの心得4ヵ条」を記載する。

1.事前準備

サッカー日本代表においては、環境対応や強豪国とのトレーニングマッチなどの事前準備が思い出される。本番を想定したあらゆる準備を徹底的にすることで、納得性が高まり迷いがなくなる。そして課題を危機意識として共有することができる。
企業においても、リーダーはメンバーに危機意識を強く持たせ、チームワークを高める策を講じることが必要である。

2.ぶれない信念

チームが立てた目標に対し、リーダーはぶれずに闘うことが大事。ワールドカップ前の4連敗で、多くの批判を受けた日本代表であったが16強入りを果たした。目先のことでぶれていては逆境時に結束するのは不可能であっただろう。
環境条件は常に変わるのが世の常である。変化に対応するために戦術を変えて批判を受けようとも、リーダーは信念を貫くことが重要である。それにより逆境時も全員で目標に向かい、計り知れない底力を発揮する。

3.決断力

リーダーは"タイミングを逃さず、いかに決断ができるか"が重要である。最終的にその決断は賭けだが、リーダーの本気度はメンバーにすぐ伝わるものである。 決断したことに邁進する前に迷いが出てしまうリーダーは、それによってどれくらいチームの推進力が鈍り混乱するかを考えていただきたい。決断の意味を再確認し優柔不断を是正し、決断力を磨くべきである。

4.モチベーション

チームが勝つために自分たちで何をするべきかを考えて動き、最後まで競争原理を持ち込みながら、勝利という目標のために結束し、チーム全員が高いモチベーションで闘う環境をつくった。これはベテランの控え選手がそのようなムードを作っていったことが大きい。企業に置き換えると、トップの考えをリーダーがわかりやすく部下に伝え、各自の役割と責任を理解させ、いかに全員で闘う雰囲気をつくれるかである。モチベーションの低い社員には、立場を理解した上でのアドバイスが効果的である。

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