人件費を変動費化できないか

いかに固定費の割合を減らし変動費の割合を増やすかを考えることによって、売上低下の局面に強い企業作りができます。

以下、単純な事例を見てみます。
売上が100百万円(1億円)で、経費が80百万円かかっている会社があるとします。利益は、100-80=20百万円です。
この経費が、

  1. 100%固定費
  2. 50%固定費50%変動費
  3. 100%変動費

の場合、売上の増減により利益はどうなるかを見てみます。単純な計算なので容易に理解していただけると思います。

売上が100百万円→70百万円と、30%低下した場合、利益はどうなるかを見てみます。

  1. 100%固定費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費80百万円(100%固定費のため変わらず)
    →利益△10百万円
  2. 50%固定費50%変動費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費68百万円
    (50%固定費50%変動費のため変動費部分40百万円が30%低下し28百万円となり、固定費部分40百万円を足すと)
    →利益2百万円
  3. .100%変動費の場合
    売上70百万円(30%低下)
    経費56百万円(30%低下)
    →利益14百万円

このように、経費の中で変動費の割合が高い企業ほど、売上の低下の局面に強い企業、ということになります。

固定費として見られる経費の代表は、人件費です。 その人件費を、変動費化する方法を考えてみます。

  1. 【パート社員、派遣社員の活用】
    売上が減少した時、社員の削減を考えなければならなくなりますが、正社員では、なかなか辞めてもらうことはできません。パート社員では辞めてもらいやすいですし、派遣社員であれば派遣を終了すればよいです。
    つまり、売上が減少してもなかなか辞めさせづらい正社員は固定費として、辞めさせやすいパート社員や派遣社員は変動費として、見ることができます。
  2. 【外注化】
    外注費は、変動費の代表です。例えば製造業などで、仕事が最大にある時を基準とした工場の社員を抱えている企業がありますが、仕事が少ない時を基準として工場の社員を確保し、仕事が多くなった時は外注を活用するなど、考えられないでしょうか。
  3. 【社員の成果により変動する給与を拡大】
    営業社員などで考えられます。売上を多く作る営業社員も、売上を全く作らない営業社員も、同じ給与であれば、売上を全く作らない営業社員は、そこで会社に赤字をもたらしていることになります。売上や粗利益の獲得に応じた成果給部分を多く、成果によって変わらない基本給部分を少なくする給与体系を作ることにより、人件費の変動費化が進みます。
  4. 【会社の業績に応じた賞与】
    毎月の給与部分を少なくし、会社の業績に応じた賞与を多くします。
    例えば月給25万円の社員がいるとすると、会社の業績が赤字であれば、年間賞与を0円とし、会社が大きく利益を出しているとすると、賞与を年間100万円とします。このように、会社の利益が赤字やトントンであれば賞与を出さず、利益を上げれば賞与を出す方式にすることにより、人件費が変動費化します。

しかし、いざこれらの方法を導入しようとしても、社員の反発がこわい経営者の方は多いかと思います。
自社の経営状況が悪くない会社であれば、悪くなる時に備えて、やれるところからやっていったり、今後採用する社員から変えていく方法が考えられます。

問題は、現状で売上が減少して赤字が出ている企業です。

そういう企業は、待ったなしですので、例えば営業社員で売上を上げてくる社員が少なく赤字となってしまっている会社であれば3の方法を導入して人件費の変動費化を行うなど、経営者が断固とした意志を持って、人件費の変動費化を行っていくべきです。
またこういった企業の場合、会社に貢献しない社員に辞めてもらうなど、一部社員に辞めてもらう策をう必要があります。

例えば社員数30名の会社であって、5名辞めさせると黒字化する会社があるとします。
その5名を辞めさせることができなければ、30名全員、共倒れとなってしまいます。
そこを考えると、5名は辞めさせないといけないことがよく分かるのではないでしょうか。

新会社を作る時の鉄則

(Q)
当社は建築業をしています。主にハウスメーカーの下請け工事です。
父親が代表のときの借金があり(現在の返済は金利のみ)融資が受けられない状況だったため、母親名義で別法人を5年前に立ち上げました。
私はハウスメーカーに勤めていて、1年半前から家業を手伝っているのですが、先日運転資金の借入れを申し込んだところ、保証協会の審査で落ちてしまいました。S銀行さんの話では売上等では問題はないとのことでした。
やはり、同一の住所で、家族が経営している赤字の会社があると融資は難しいのでしょうか。

(A)
新会社を作る時の鉄則は、旧会社の
1.役員、2.株主、3.保証人
を全く切り離して作るとともに、同じ住所にしてしまってはだめです。
そうしないと旧会社で融資が受けられないから融資を受けられるように新会社を作ったのだろうと信用保証協会に見透かされてしまい、融資を受けることは困難になります。

ノンバンクからの借入

商工ローンやビジネスローン専門金融機関、不動産担保融資専門会社など、ノンバンクからの借入れを銀行に知られてしまうとどうなのか、という質問は、よくいただきます。

銀行から見ると、ノンバンクからの借入れがある企業は、通常であったら銀行から融資を受けて資金繰りを行うところ、銀行から融資が受けられず、銀行よりも金利が高いノンバンクから借入れした、という見方をされますから、そうでない企業よりは、融資を出さないというわけではないですがやはり、融資審査に慎重になってしまいます。

また、ノンバンクといってもいろいろな種類がありますが、それぞれのタイプごとに、そこから出る融資がどういうものか、見てみましょう。

【商工ローン】
以前破たんしたSFCGのように、高金利で融資を行う金融機関です。 商工ローンから融資を受けるのは、せいぜい、一時的に資金が足りない状況ですぐに返済のあてのある場合ぐらいにとどめておき、銀行から融資が受けられないからと商工ローンでしのごうとしてはなりません。

【ビジネスローン専門金融機関】
融資の金額は数百万円と少額で、金利も10%あたりと銀行に比べて多少高い融資を出す金融機関で、多くは銀行の資本が入っています。このような金融機関からの融資を受けるにしても一時的な資金ぐらいにとどめておくべきです。

【不動産担保専門金融機関】
不動産担保融資を専門とする金融機関があります。金利は一桁台後半から10%前後あたりとなります。担保とできる不動産があるのなら、通常であればそれで銀行から融資を受けるでしょうから、不動産担保金融機関から融資を受けるということは銀行からなかなか融資が受けられない会社、ということが通常であります。

いずれのタイプの金融機関においても、共通するのは、

  • 銀行からなかなか融資が受けられない企業が使う金融機関であること。
  • 金利は銀行からの融資よりだいぶ高いこと。

という特徴があります。

これらノンバンクから融資を受けるにあたっては、銀行の融資はリスケジュールを行い、金利の高い融資で金利の低い融資の返済を行うという構造にしないことが前提となります。
そしてノンバンクから受けた融資は、最後の会社を立て直すための資金とします。
銀行から融資が受けられない状況は、業績が芳しくない状況であり、立て直しを意識的に図っていかねばならない状況です。

売上大幅激減の会社の立て直し方

とにかく、企業は倒産を回避し、再生に向かって進んで行かなければならないのです。
ここ数年、多くの企業から、売上が激減した、というご相談をいただきます。
この理由としてよくあるのは、1社や2社に多くの売上を依存しているパターンです。
売上が激減した場合、倒産を回避して再生への道を進むにはどうすればよいでしょうか。

この場合、2つの考え方があります。
1つは、今まで1社や2社に売上を依存していた体制を見直し、売上先を分散する体制を作ること。リスク分散の考え方です。
この場合、自社の技術を生かし、今まで依存していた業界ではなく異なった業界にアプローチできないか、を考えます。
ただ、この場合は新規売上先の開拓の必要があり、すぐにとれる対策ではないでしょう。将来的な策ではあっても、緊急事態にすぐに行うことができる策ではありません。

そこで、2つ目は「縮小均衡」 売上5億円が、例えば4.5億円に減少するような少しの売上減少であれば、一部の経費削減でしのげるのかもしれません。
しかし売上5億円が、2億円にまで減少するような売上激減の状況であれば、経費削減という生ぬるいことでは全く足りません。売上2億円で損益がトントンとなるように、損益計画を一から作ります。

最も削らなければならない経費
多くの会社では人件費でしょう

社員を辞めさせることができなければ、会社は破たんして、全員、共倒れということになってしまいます。

この場合の解雇は、整理解雇ということになりますが、整理解雇には次の4要件が必要です。

  1. 【人員整理の必要性】
    整理解雇を行うには、相当の経営上の必要性が認められなければなりません。
  2. 解雇回避努力義務の履行
    解雇は、最後の手段であることが要求されています。役員報酬の削減や、新規採用の抑制、希望退職の募集など、整理解雇を回避するための経営努力がなされていることが必要です。

  3. 【被解雇者選定の合理性】
    解雇される社員の選定基準、具体的人選が合理的である必要があります。
  4. 【手続の妥当性】
    説明、協議など、整理解雇を納得してもらう手順を踏んでいる必要があります。

※このように、整理解雇を行い、売上が激減しても損益がトントンとなる体制作りが必要です。

催促の手紙を出して失敗した・・・

内容証明郵便の出し方:
支払を催促する活動の一つに、手紙を出して催促をするという方法もあります。
この手紙を使った催促の中で、最も過激な方法が「内容証明郵便」という特殊な郵便方法を使ったものになるのです。

内容証明郵便とは・・

  1. どんな内容の手紙を
  2. いつ相手に出したか

ということを、郵便局が証明してくれる特殊な郵便物のことです。

売掛金を回収をするためのノウハウ本を読むと、内容証明郵便が魔法のツールのように書いてあることがあります。インターネット上で検索しても、「売掛金回収と言えば内容証明郵便」というような感じです。

内容証明郵便だけで回収できるならば、誰も売掛金回収に苦労しません。実際には、むしろ内容証明を出すことで、
⇒"話がこじれて長引く"
⇒"まったく無視される"
というようなことも珍しくありません。
内容証明はなんら法的な拘束力を持つものではないために、まずもって無視できてしまうのです。

とりあえず支払が滞ったから内容証明郵便を出そう、という発想は捨てて下さい。
では、どんな時に内容証明郵便を使って催促すべきなのでしょか?

内容証明郵便は「宣戦布告」の意味合いが強いです。
コミュニケーションも取りづらく、支払意志がないならば、これはもう戦闘を開始する相手ということになります。

注意!
しかし、注意していただきたいのは、内容証明郵便を出すだけではダメだということ、出して反応がなかったらどうするのか、ここを考えてから動かなければいけないということです。

おすすめの記事