資金繰りで気を付けたい財務ノウハウ3

商業手形割引の金利

(Q)
商業手形割引の金利について。割引金利の基準は短期プライムレートでどの銀行も行われているようですが、短プラ以下になることは可能なのでしょうか?
短プラベースの理由としては、支払期日が異なるので銀行側の資金調達の効率が悪いため、短プラが限度である、と説明を受けました。大手の会社には短プラ、マイナス何%など適用しているのでしょうか?

(A)
割引金利が短プラ以下になることは可能です。しかし、それでも都市銀行の一番低い短プラが限度です。短プラは銀行によってちがいますが、例えばあなたの会社の取引銀行の短プラが1.875%で、都市銀行の一番低い短プラが1.625%であれば、短プラ以下の金利と言っても1.625%が限度です。
短プラ以下の金利が適用されるのは大手というよりも、財務内容の良い会社です。そのような会社には割引の取引を増やそうと、各銀行が金利で競うからです。

担保がついている不動産を売却したい

(Q)
会社(父が社長、私は役員)の経営がこのご時世でご多分に漏れず苦しい状況にあります。経営資金確保の為に会社の不動産の売却を考えていますが、もちろん担保になってます。銀行との協議によって売却が出来る場合、第一・第二抵当権を持つ銀行と信組両方と話をしなければならないと思いますが、どういう交渉をすれば良いのでしょうか?
資産の評価額は1億5千万前後。第一抵当権を持つ銀行の負債が3千万位。第二抵当権を持つ信組はまだ2億以上残っています。この様な状況の場合、もし売った場合でも自社で使えるお金は残らないのでしょうか?

(A)
まず買い希望者を探し、買い希望者に「買付申込書」といって、「私はこの不動産を○○円で買いたいです。」というようなことを書いた書面を作ってもらいます。それをもとに、担保をつけている金融機関と交渉していきます。

まず第一順位抵当権がある金融機関に話をします。そこで、売却してそれを一部返済にあててくれれば担保を外してもかまわないよ、という感触が得られたら、後順位の抵当権設定の金融機関にも話をしていきます。

抵当権を設定されている状態であっても、不動産の「売却自体」は可能ですが、抵当権が設定されている物件に買い手はいないでしょう。売却代金での返済配分案を抵当権を設定している各金融機関に説明し、全て抵当権を外してもらうことに同意を得られたら、やっと売却の実務に入っていくことができます。
しかし、あなたの会社の場合は、売却代金を経営資金に使いたいということです。しかし銀行は、信用のある会社でなければ、抵当権が設定されている金額分、物件売却代金は全て融資返済にあてさせるのが通常です。銀行が、売却代金の一部を経営資金に使ってもよいと言ってくれれば良いのですが、その交渉はなかなか難しいところです。

「保証人」の性質

銀行融資において、重要なポイントの一つが、「保証人」です。
代表者である保証人に求めるものは しっかり経営して返済を行い、返済ができなくなったら責任をとってほしい、ということです。
代表者でない保証人に求めるものは 保全、つまり企業が返済できなくなったら、変わりに返済してほしい、というところです。

代表者でない保証人として、例えば

  • 不動産を持っている人
  • サラリーマンで、勤めている企業が安定しており、勤続年数が3年以上である人など、細かい条件が求められることもあります。

企業が返済できなくなった局面において、銀行にとって担保は確実な回収手段ですが、保証人はそうではありません。だから、銀行融資において、保証人は気休めにつける程度、のものでしかありません。

また、保証人について、よくあるのが、銀行が後日、追加で「保証人を新たに入れてほしい」と要求してくる場合です。

代表的なのが、リスケジュール、つまり返済金額の減額の交渉時に、保証人を要求される場合です。
この場合、銀行の要求はつっぱねるしかありません。
「保証人を探しているがなかなか引き受けてくれない。」
などの理由をつけて、要求は受け入れないようにします。リスケジュール時において保証人をつけると、その保証人に最終的に迷惑をかける可能性は、当然高くなります。迷惑をかけてはいけません。

新規の銀行があなたの会社にとびこんでくるようになる方法

新しい銀行から融資を受けたい場合、はじめは銀行の方からあなたの会社にアプローチしてくるようにしなければなりません。

銀行の方から、あなたの会社にアプローチしてくるように「仕掛け」を行いましょう。

それは、帝○データバンクのような企業調査会社の資料です。
銀行には、本部に営業支援の部署があります。
営業支援の部署から、3か月に1回や半年に1回、支店のテリトリー内にある企業のリストが、企業調査会社のデータから抽出され、配布されるのです。 例えば帝○データで、評点が50点以上の企業はそこそこの企業、55点以上の企業は優良な企業という見方をします。
銀行員の新規融資先の開拓の仕方は、このように企業調査会社のデータを見て、という場合が多いです。

ということは、次の2つが、多くの銀行があなたの会社に新規融資先の見込み客としてとびこんでくる仕掛けとなります。

1.企業調査会社に、あなたの会社の企業情報が掲載されること。
2.企業調査会社のデータで、あなたの会社の評点が高くなること。

根抵当権極度額は減額できるか?

(Q)
担保の書き換えなどはできますか?
たとえば、借入当初に不動産を担保としました。返済が順調に進み残高が当初借入額の半分になったとします。あきらかに不動産担保物件のほうが価値があるとします。この場合、担保の再設定などのようなことは可能でしょうか?

(A)
根抵当権極度額の減額ということで可能です。ただし、その際にかかる費用は負担しなければなりません。ただ、そのような申し入れをしても、銀行から、根抵当権の減額は待ってほしいと言われることは多いです。今後、再び融資を実行したときにその時の根抵当権の極度額が大きければ、融資にともない極度額を再び増額することがなく、手続きが楽だからです。
もし将来、その銀行から融資を再び受けたいということであれば、根抵当権極度額はそのままにしておくのも一つの考え方です。

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