ただ担保を差し出すな!
あなたの会社に、担保となっていない不動産がある場合、銀行から、その不動産を担保に入れてほしいという話をされることは多いのではないでしょうか。 しかし、その不動産をやすやすと担保に差し出してはなりません。
あなたの会社と銀行とは、あくまでビジネスの関係、対等な関係です。 担保を入れるなら、その見返りはあるべきです。
その場合、新たな担保を差し出す条件として、新たなプロパー融資を出してくれるなら、としてみてはどうでしょうか。 また融資の金額は、その不動産の時価と同額程度ぐらい、交渉してみるべきです。
ただこの場合、気をつけなければならないのは、その1億円の融資をA銀行は出してくれるにしても、短期の一括返済や、半年・1年分割返済など、短期で完済してしまう条件で融資を受けないことです。
銀行が、短期の一括返済や、半年・1年分割返済の条件で融資を出す、と言っている場合、銀行は、早期に完済させ折り返し融資は出さず、結果、もともとの融資総額2億円の保全を図れた、という状況を目指しています。
また1つの銀行に担保を差し出す際、気をつけなければならないのは、他行の目、です。 メイン銀行であるA銀行に新たな担保を差し出すのなら、まだ説明はつくでしょう。 しかし、例えばC銀行に担保を差し出すと、当然、A・B・D各銀行は、不公平感を抱いてしまい、今後の融資取引に支障が出てしまいます。
新たな担保を差し出すのなら、やはり理由付けは必要です。
プライムレートの意味
(Q)
(旧)長期プライムレートと新長期プライムレート、短期プライムレートのそれぞれの意味を教えてください
(A)
(旧)長期プライムレート:
長期信用銀行や信託銀行の、信用度の高い一流企業に対する「長期(1年超)」の「最優遇貸出レート」のことです。
金利は、各行が独自に決めることになるのですが、みずほコーポレート銀行が発行する「みずほコーポレート銀行債券(5年物利付金融債)の表面利率に0.9%上乗せした金利に設定されるのが一般的です。
新長期プライムレート:
「短期プライムレート」に一定水準を上乗せした「レート」で、「短期プライムレート」の変動にともない変動します。これは、短期金利が長期金利を上回ると、短期の調達手段しか持たない都市銀行などの一般銀行が長期の貸出をした場合、調達するコストの方が高くなり、収益を圧迫することになるため、短プラに連動する長期金利新長期プライムレートが設定されました。例えば新長プラは、期間3年以内で短プラ+0.3%というように、各銀行ごとに決められます。
短期プライムレート:
短期プライムレート(短プラ)は、都銀など一般銀行の、信用度の高い一流企業に対する「短期(1年以内)」の「最優遇貸出レート」です。
このレートは、各銀行ごとに、調達コストをベースに金利動向や利益などを勘案し決められています。
担保を外したい
(Q)
600坪の工場を移転して高令者用賃貸住宅を建てたいのですが、日本政策金融公庫の担保になっています。
是非ともはずしたいのですがどうすればはずしてもらえますか600坪の土地に住宅金融支援機構から融資を頼みたいのですが、日本政策金融公庫の担保をはずして住宅金融支援機構に担保を付けなければなりません
(A)
日本政策金融公庫に、残りの融資を全額返すことができれば当然よいのですが、それが難しいから相談されていると思います。
その土地を、日本政策金融公庫が担保価値をいくらで評価しているかがカギとなります。その評価額を推定し、金額を決めて日本政策金融公庫に相談します。その金額を支払うから、全額返済はできないが担保は外してほしい、と交渉します。そうすると、日本政策金融公庫も交渉してきて、返済する金額がいくらで妥結できるか、前に進みます。そして日本政策金融公庫と妥結したら、その金額を返済して担保を外してもらいます。
ただこの場合も、その金額は用意しなければならないことになります。ただでは担保を外してもらえません。
ベンチャー企業の資金調達
(Q)
ベンチャー企業の間接調達についてご相談は可能ですか?
現状、借り入れは無いのですが開発、広告等で出費がかさみ、ビジネスモデルで日本政策金融公庫に話したところNGでした。
そこで経費を切り下げ今年度中には単月黒目的でチャレンジをしぼっていますが、いざ貸せないとなっては事業継続ができないので早めの措置を考えて行動しています。
(A)
創業してまだ若い会社、売上が少ない会社は、基本的に融資は
・信用保証協会保証付融資
・日本政策金融公庫
この2つで融資を受けることになります。
これらの機関から融資を受けやすくする方法は、黒字になる事業計画を作ることです。
ビジネスモデルの説明だけでは不足で、メイン資料は、今後3年ぐらいの損益計画(月次計画)で、それに付随してビジネスモデルなど、どのようにその数字を上げていくか、というものにしないと、相手は積極的になってくれません。
定期預金を解約できるか?
融資を受けている銀行において、企業としては定期預金は作らないのが原則です。
ただ融資をしている銀行としては、保全の一つ、つまり返済ができなくなった時にすぐに相殺できるように、定期預金を作ってくれ、と言ってきます。
そうやってやむを得ず、定期預金を作ることも多いでしょう。
融資を受けている銀行においての定期預金は、次の2つの形があります。
担保としてとられている定期預金:
- 定期預金を担保とするには、質権設定契約書を交わし、定期預金の通帳や証書を銀行に差し出します。
- 定期預金は、担保としているのであれば、融資が返済されないかぎり解約することはできません。
フリー定期預金:
- フリー定期預金は担保となっていないため、企業側の意向で、解約することができます。
しかし、そのような定期預金を解約しようと思って銀行の窓口に行っても、後ろから預金係の役席行員が出てきて、解約したい理由を尋ねられ、解約を引き止められるケースが多いでしょう。
↓
理由はもちろん、融資先企業が融資返済できなくなった時のための保全を確保しておくためです。 - しかし、フリー定期預金の解約はあくまで、預金者の自由です。フリー定期預金を解約しようとして銀行の引止めに合ったら、一度であきらめず粘り強く交渉して下さい。
いっとき、現金預金が豊富で定期預金を作りたいと思っても、それは融資を受けていない銀行にて行うべきです。いつでも解約しやすいような体制を心がけるべきです。
別会社での新規融資
(Q)
先代から業務内容を変更し引き継いだ会社を経営しておりました。
会社ではすでにリスケ状態だったところに私が代表に就任、去年の10月に1800万円あった借金のうち保証協会分1000万円を返済、その後支払いを通常払いに回復し保証協会分残債60万円、政策公庫600万円という状態までもって来ました。
銀行にも政策公庫にも先代(現在故人、義母所有)の不動産が根抵当に入っている状態です。
先代の残した借金の支払いに追われ、新規融資がおりず、会社の経営が好転しない状態を打開するべく、新たな環境で心機一転頑張るために新しい会社を2月に起業しましたが政策公庫から融資を受けられますか?
(A)
信用保証協会保証付融資、日本政策金融公庫からの融資の返済が、リスケジュール状態から脱し、通常の状況に戻っているようですから、リスケジュールの状態がネックになることはなく、この会社でも、新しい会社でも、融資は可能でしょうね。
ただこの場合、信用保証協会や政策公庫での融資制度である創業融資は、使えません。ただ別会社を作っただけであり、創業とは言えないからです。
そのため通常の融資を考えることになるのですが、新会社の業績、それともともとの会社の業績を見られての審査になるでしょうね。
民事再生後の資金調達
私たちが、厳しい状況の中小企業経営者からご相談を受ける中で、たまに「民事再生を行えば再生できるんだ。」と考えていらっしゃる経営者がいます。
実際中小企業が民事再生法を使って再生を果たすことは、困難なことが多いです。
■民事再生法申請を行うと、銀行等金融機関や仕入先等取引先に、債務をカットしてもらうことになります。
そうすると、債務をカットされた金融機関からは今後の借入れが困難、というより不可能になりますし、債務をカットされた取引先からは今後の取引拒否、もしくは取引拒否されなくても、現金支払いを要求されることになります。
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そうなると、民事再生法を申請する企業においては、必要なものは「資金」となります。
民事再生法を申請したからといって、資金の不安から一気に開放されるわけではないのです。民事再生法を申請した企業こそ、その後の資金繰りをどう行っていくか、考えていかなければなりません。そこで、次の2つの手が考えられます。
スポンサーをあらかじめ探しておくか、民事再生法申請を行った後にスポンサー探しに動き、資金を支援してもらう。
スポンサー候補となる企業も、ビジネスでやっているのですから、当然、民事再生を行おうとする企業を傘下におさめることのメリットがないといけません。 民事再生を行おうとする企業が、事業自体は利益が出ていたり、魅力的な顧客を抱えていたり、魅力的な技術力があったりと、メリットがなければ、なかなかスポンサーはつきません。 そのため、民事再生が頭にある経営者は、まずは自社が、外から見て魅力的と言えるかどうか、考えてみなければなりません。
民事再生法を申請した企業向けの融資を受けられないか検討する。
日本政策金融公庫(旧国民生活金融公庫・中小企業金融公庫等)の「事業再生支援資金」「企業再建・事業承継支援資金」、商工組合中央金庫の「事業再生支援貸付」、信用保証協会の「再建企業向融資」など、政府系金融機関が、民事再生企業向けの融資制度を用意しております。
しかし融資制度があるといっても、現実的に審査が通るのはなかなか困難です。
私たちが、厳しい状況の中小企業経営者にいつも伝えているのは、破産や民事再生などの法的整理を行う前に、再生に向けてやれることはいっぱいある、ということです。
「民事再生」という言葉が一人歩きし、どんな企業でも民事再生法によって再生できるんだ、という誤解を持っている経営者は多いのですが、民事再生の現実をよく考えてみてください。